地下湿地定期便

地下や湿地の生物をただただ愛でる日記

河川敷

 今週もまたまた県内の河川敷へ行ってまいりました。狙いはマルクビゴミムシ類とダルマガムシ類です。

 先週より少し上流に狙いを定め、石起こしをしながら川べりをとにかく歩き回りました。

 

 とにかく大量のカワチゴミムシ、ヒメカワチゴミムシ、ノグチアオゴミムシが走り出す中、異彩を放つゴミムシが…

・カワチマルクビゴミムシ Nebria lewisi

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自身初の河川性マルクビゴミムシ!憧れていた通りの素晴らしい色彩と形態!ようやく三人衆のうち一角を落とせました。他の2種とは基本的に頭のツートンカラーで区別できるらしいです。

 

 そして水際ギリギリの石をめくると突然何かが飛び出した!

カジカガエル Buergeria buergeri

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色は地味ですが、見れば見るほど艶やかで魅力的なカエルです。

カジカガエルBuergeriaはどうやら

  1. カジカガエル B. buergeri 本州・四国・九州・五島列島
  2. リュウキュウカジカガエル B. japonica琉球(トカラ)・中央琉球(沖縄諸島)
  3. ヤエヤマカジカガエル B. choui琉球(西表島石垣島)・台湾北部
  4. 和名不明 B. robusta 台湾南部
  5. 和名不明 B. oxycephala 中国(海南島)

の5種で構成されるようです。一応形態的にも区別できるようなので、ぜひ全種見てみたいものです。

 

 続いて河川敷の脇に轍に水が溜まった湿地を発見したため少し掬ってみると…

・ヒメシジミガムシ Laccobius fragilis

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体長は2.0mmと極小個体であり、チビシジミガムシL. roseicepsと見間違えたほど。同定は暫定的なものなので、後々交尾器を抜いて確認するつもりです。

・ヤマトゴマフガムシ Berosus japonicas

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体長が無印ゴマフガムシB. punctipennisより小さいこと、及び間室の点刻が一列(ゴマフは二列)であることから区別できるようです。

 

 そして、少し下流の河川敷の野原にできていた大規模な水溜まりを掬うと、ゲンゴロウ類に混じってなぜか陸生の甲虫が…

・コケシマグソコガネ(?) Myrhessus samurai

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しかも掬うごとに必ずと言ってよいほど網に入ってくる。水生昆虫でもないのになぜだろうと思っていたら、ネットで「イネ科植物の根際に生息していた個体が、雨後誤って溺れた可能性が高い」と教えていただきました。見ていると動きはかなり緩慢なようなので、確かに急な浸水からは逃げられないでしょうね。前日は雨でしたし、間違いなさそうです。

 

 今回も自身初の生き物たちを沢山拝むことができました。この調子でどうにか県内の河川で、キボシツブゲンゴロウ・キボシケシゲンゴロウオナガミズスマシ類・トゲナベブタムシ・カワネジガイを見つけたいと思います。

 

参考文献

・川井信矢ほか,「日本産コガネムシ上科図説 第1巻 食糞群」, 昆虫文献六本脚, 2008

・中島淳ほか,「ネイチャーガイド 日本の水生昆虫」, 文一総合出版, 2020

https://ja.wikipedia.org/wiki/カジカガエル

https://ja.wikipedia.org/wiki/カジカガエル

https://en.wikipedia.org/wiki/Buergeria_robusta

https://en.wikipedia.org/wiki/Buergeria_oxycephala

・M. MATSUI & A. TOMINAGA, 2020, A New Species of Buergeria From the Southern Ryukyus and Northwestern Taiwan (Amphibia: Rhacophoridae)