地下湿地定期便

地下や湿地の生物をただただ愛でる日記

時期尚早…

2021/4/10

 今日は某Trechiamaメクラチビゴミムシを狙いに県境付近に北上してきました。

 しかし麓では工事が行われていて、それを横目に不安を抱きながら山道を登っていくと、やはりすぐに通行止めになってしまいました。どうやら5月下旬まで止めてあるようですが、そもそも雪が積もっていて今のところ走行が不可能です。

 意気消沈してUターンし、手前にあった河原に降りて草の根元を掬ってみます。すると…

・ヤマメ(多分) Oncorhynchus masou

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大量の稚魚が網に入りました。もしかしたら放流されたものかもしれないので手放しには喜べませんが、とてもかわいいです。

 そして岸に落ちていた石を起こしてみると…

・クボタヤマトヒゲブトアリヅカムシ Diartiger kubotai

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ハヤシケアリLasius hayashiの巣に多くいました。アリの巣での生活に特化した素晴らしい造形美ですね。

 この場所では水生昆虫やゴミムシは期待できそうになかったので、近くにあった沢に向かいます。早速浸かっていた倒木を持ち上げてみると、赤黒い甲虫が付いていました。これは…

・ツブスジドロムシ Paramacronychus granulatus

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カッコいいヒメドロムシの中でも特にカッコいい種です!私の撮影レベルではそれが伝わらなくて悔しい!

 そして岸のガレ場に落ちていた倒木を裏返すと割れ目には…

ヤマシナヒラタヤスデYamasinaium noduligerum

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ヤスデ界のオシャレ番長ですね、今日もショッキングピンクコーデが決まっています。ヒラタヤスデ科は背板に2~3列の瘤起があるのですが、Yamasinaium属は頸板上にも2列の瘤隆起があることが特徴です。(写真が不鮮明すぎる&採集していないせいでこの個体は分かりません)

 この後しばらく探しましたが、この場所でもやはりゴミムシ類は出てくれなかったので全く違う某Trechiamaポイントへ移動しました。

 しかし良い土をしているのですが、時期が原因なのか普通のゴミムシすら出てきません。諦めて車まで戻り、やけくそになって足元の石ころをおもむろにめくると…

・アカアリヅカエンマムシ Haeterius gratus 

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なんとカッコいい昆虫でしょう!カッコいいを通り越してむしろ卑怯です!小ささなんて全く気にならない素晴らしさです。色といい脚といい体型といい最高!

 

 まだまだゴミムシは姿を見せてくれませんでしたが、良い虫を見ることができて満足です。Trechiamaは良さそうな場所はあったので次に期待します。

 

参考文献

・丸山宗利ほか,「アリの巣の生きもの図鑑」, 東海大学出版部, 2013

青木淳一 編,「日本産土壌動物検索図説」, 東海大学出版会, 1991

・三好保徳, 1953, 日本産倍足類及び唇足類の分類學的研究: 7.日本産ヒラタヤスデ科諸屬の生殖肢について