地下湿地定期便

地下や湿地の生物をただただ愛でる日記

化かされた…

2021/5/15

とある山の通行止めがようやく解除されたため、論文に必要な某Trechiama(nagahinis種群)を狙ってきました。

とりあえず一本目の沢に到着。沢を上がろうとすると、手元の草にヨモギハムシ似のハムシがわちゃわちゃしているのが見えましたが、ヨモギにしては丸っこいので家に帰って調べてみると…

・アカソハムシSuinzona cyrtonoides

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初めて聞いたハムシ!なかなかかわいい。最近の論文で属が移行されたらしいです(Cho,HW., Kim, S.K. 2021)。

 

結局ここでは目立った生物は見られず、思い切って頂上のタイプ沢に移動。まず降り積もった落ち葉を掻きわけていると、不思議な生き物が出てきました…こ、これは!

・トワダカワゲラ属Scopura sp

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カワゲラの中で最も見たかった属なので叫びました、これは万国共通のカッコよさ!種の同定については幼虫の場合、雄の肛上板の形を見なければならないようですが、分布から見てミネトワダカワゲラS. montanaでしょう。実は個人的に、カワゲラは幼虫に良さが詰まっていると思っていますが、トワダカワゲラの場合、成虫になっても殆ど形が変わらないのも推しポイントです!

 

落ち葉を除け終わったところで、さっそく掘っていきます。すると、見慣れた赤い虫が走り出しました!少し手間取りましたが何とか回収。すると間髪入れず視界に赤い虫が入ったのでこれまた何とか回収。これは紛れもなく…

Trechiama sp

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これでやっと論文が書けるゼ!…と思ってTwitterにもそう載せたのですが、実は!この後検鏡してみると、交尾器が…

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ということで、まさかのohshimai種群でした( ノД`)シクシク…しかも雰囲気的にまさかのネオ(T. glacilior)!?

本当になんでネオってこんなに分布広いんでしょうね 泣

ただ、逆にここで採れた記録はいつか興味深い記録に変身するかもしれません、そう思いたいです。

 

結局、論文に必要なブツは採れませんでしたが、現在タイムカプセル(別名地中トラップ)を埋めているので様子見します。

 

参考文献

・「改訂 原色昆虫大図鑑 II 甲虫編」, 北隆館, 2007

・丸山博紀・高井幹夫「原色川虫図鑑 幼虫編」, 全国農村教育協会, 2016