地下湿地定期便

地下や湿地の生物をただただ愛でる日記

近所の水路

 今日も河川敷採集です。狙いは砂浜のゴミムシ類、今まであまり行ったことのなかった川に行ってきました。

しかし探せど探せど昆虫自体の影が薄くて甲虫の1匹もいません。良い森はあるのに何故だろうと思いましたが、倒木が全く無いところなどを見ると、この河川敷は比較的新しく造成された場所なのでしょう。

早々にあきらめて対岸の砂浜に行ってみます。すると水中にカワニナやヨシノボリがウジャウジャ見える素晴らしい場所で、流れ着いていたホースの下にはカワチマルクビゴミムシが大量でした。次に水際にかぶさっていた白トレイを持ち上げると裏には…

・ナガレカタビロアメンボ属の一種 Pseudovelia sp

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ペアで鎮座していました。Twitterで教えていただきましたが、岐阜県でも未記載種が発見されているらしく、今のところsp止めのほうが良いらしいです。

 しかしその他の虫は見られなさそうだったので、昔から気になっていたとある水路に向かいました。ここは釣堀からの水が流れる水路で、片面コンクリート張り、ウシガエルや外来魚の巣窟になっているので期待はできませんが、部分的に芦が茂る場所があります。

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 一縷の望みを託して掬ってみると…

・コガシラミズムシ Peltodytes intermedius

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・コツブゲンゴロウ Noterus japonicus

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・タマガムシ Amphiops mater

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・チビヒラタガムシ Enochrus esuriens

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意外や意外、市内では殆ど見られないような水生昆虫たちがいるではありませんか!ここは十年以上前から外来魚が住み着いているので、一応共生できているということでしょうか

 そんなことを考えながら自転車に戻る途中、一本の枯れススキが目に留まりました。葉の根元に黒い物体が止まっていたのです。よく見ると…

・クロトゲハムシ(クロトゲトゲ) Hispellinus moerens

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本当にトゲトゲですね(ただしクロルリトゲハムシよりは控えめ)。あまり見ることができない種類なのでうれしいです。

 

 河川敷はあまりパッとしませんでしたが、近所の水路にも大きな可能性が眠っていることに気付けて良かったです。この河川敷に昆虫が根付くのは何十年後でしょうか、そもそも本来の森には戻るのでしょうか…少し不安ではあります。

 

参考文献

・中島淳ほか, 「ネイチャーガイド 日本の水生昆虫」, 文一総合出版, 2020

・尾崎暁, 「ハムシハンドブック」, 文一総合出版, 2015